呼吸器の病気
あれこれ
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呼吸器科とは

呼吸器科、とはその名が表すように呼吸全般に関連する内科です。気管支から肺、細かく言うと肺胞にいたるまで、呼吸にかかわる全ての疾患を専門とするものです。

現在、日本人の主な死因は「ガン」「心疾患」「脳血管障害」ですが、それに迫る勢いで肺気腫などの呼吸器疾患が増えており、代表的な疾患として、「喘息」「結核」「慢性閉塞性疾患(COPD)」「睡眠時無呼吸症候群」などがあります。

なかでも慢性閉塞性疾患(COPD)とは、慢性気管支炎と肺気腫およびこの両者の合併型のことで、近年、非常に注目を集めている疾患です。日本でも500万人以上の患者さんがいると推定され(NICEスタディ2001)22万人以上が治療を受けています。(厚生労働省統計2008年)

呼吸器の病気あれこれ

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代表的な疾患 その症状と治療の現在

喘息はコントロールできます
気管支喘息は気道の慢性炎症性疾患で、気道局所の炎症と収縮によって起こる病気です。

喘息発作のメカニズムは
(1)気管支筋が収縮→(2)気道粘膜への浮腫→(3)タンなどの分泌物の増加→(4)気道粘膜の繊毛細胞の動きが悪くなりタンが溜まる→(5)気道のリモデリング(気道が厚くなること)となっています。
現在は吸入ステロイドによる治療が普及したため、以前より症状をコントロールしやすくなってきています。この吸入剤のステロイドは内服のステロイドに比べ、局所的に作用するために副作用も少なく、喘息の発作を抑える予防、維持薬として使われています。

治療治療は、目的によって長期管理薬と発作治療薬、作用によって抗炎症薬と気管支拡張薬に分けられます。急性の発作時にはその程度に応じて、気管支拡張作用のある吸入、アミノフィリン静脈投与(気管支拡張剤)を行ないます。酸素が低下している場合は、酸素吸入やステロイドの静脈内注射を行います。喘息は慢性の炎症性疾患ですから、発作が落ち着き症状が無くなっても治療を続ける必要があります。

 

若い人は結核に気をつけて

結核はここ40年ほどのあまりにも目覚ましい減少に目を奪われて、医師までもが「もう過去の病気だ」と誤解する時代になりました。しかし、実際は15年ほど前から結核の減少速度が鈍り始めており、なかでも20歳前後の若い年齢層での減り方が特に鈍っているのです。しかも大量に菌をまき散らすようになってから発見されることが多く、現在でも毎年5万人を超える新しい結核患者が全国で発見されています。咳やタンが長引いたら、ぜひレントゲン検査を受けるようにして下さい。

治療

研究が進んだ現在では、新しく発見された患者なら重症でも3ヶ月以内に体の外に菌を出さなくなり、ほとんどが薬だけで治せるようになりました。そのため、これまでは2~3年かかった治療期間が、半年から1年で治療を終えることができるようになったのです。菌を出さないようになり、他人にうつす恐れがなくなれば退院ですので、入院期間も3~6ヶ月ですむようになりました。 

 

喫煙者は肺気腫にご注意

最近特に増加してきている疾患です。主に喫煙によって、呼吸細気管支と肺胞が拡張し、破壊されるために発症します。肺胞とは、酸素と二酸化炭素を交換する組織です。息を吸うときには、肺に空気が入っていきますが、吐き出すときにうまく空気が肺から出て行かなくなります。そのため酸素を取り込む場所が少なくなったり、肺胞が大きく膨らんで縮みにくくなったりして呼吸が苦しくなります。徐々に進行すると、肺の内部にブラという袋を形成してしまいます。そうして、正常の肺の血管が細くなったり、肺全体が膨張し、呼吸筋である横隔膜を押し下げたり、心臓を圧迫します。

自覚症状としては、はじめ体を動かした時に息切れしたり息苦しさを感じてきます。その後、胸郭が前後に張り出したり、自分のペースで平地を歩いても、さらには安静にしていても呼吸困難を生じるようになります。残念なことに壊れてしまった肺胞は元に戻ることがありません。ただし禁煙、食事療法、薬物療法、呼吸リハビリなどで病気の進行を遅らせ症状を軽減することはできます。

治療

初期の頃は、薬物療法で狭くなった気道を広げますが、病気が進んで呼吸機能が悪くなり酸素が不足するようになると、酸素濃縮器を使う在宅酸素療法が必要となります。ただし酸素ボンベを携帯すれば、外出や旅行も可能です。動いた時の息切れや、呼吸が苦しい、セキ・タンが一年中続く、無意識に口をすぼめた呼吸をしているといった症状のある方は、一度検査を受けに来られてください。

肺気腫

 

睡眠時無呼吸症候群

「睡眠時無呼吸症候群」とは、眠っている時間に呼吸が止まる病気です。肥満体型や、顔の骨格の形態が原因で咽頭が狭くなっていることが原因とされています。 ベットパートナーにいびきや、息が長く止まっていたことなどを指摘されたことがある人はこの疾患の可能性があります。
症状としては、昼間の眠気、倦怠感、集中力の低下などがあります。診断はポリグラフという器械を使用します。自宅で簡単に検査できます。また高血圧、虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞)不整脈 脳血管障害 などを高い確率で引き起こすとされています。このような疾患で治療を受けておられる方も検査を受けられることをお勧めします。

治療

治療には、nCPAP(nasal Continuous Positive Airway Pressure:経鼻的持続気道陽圧法)という器械を使います。鼻にマスクを装着し、陽圧(大気圧より低い圧)を鼻から加えることによって気道を確保する治療法です。nCPAPを使用した患者さんは「日中の眠気が嘘のようになくなった」「会議中に居眠りをしなくなった」などと感想を言われています。その他に口腔内装具、耳鼻科的手術などがあります。